海洋散骨クルーズとは?メリットや注意点などについて解説。

2023.06.02

海洋散骨クルーズとは

思い入れのある場所に散骨できる

海洋散骨クルーズは東京湾や相模湾をはじめ、全国各地の海で行われています。例えば、湘南の海でサーフィンをすることが大好きだった故人のために、湘南で海洋散骨クルーズをされるご家族もいます。日本海沿いに故郷がある方は日本海に還してあげたい!という想いで海洋散骨されたり、家族で旅行に訪れていた沖縄に旅行を兼ねて海洋散骨クルーズをする方など、思い入れのある海を選ばれる方もいます。

家族の負担を考慮

海洋散骨はお墓をもたない選択として選ばれる方もいます。最近、お墓の継承者がいないなどの問題が取り上げられことが増えています。みなさんの身近に墓じまいをされた方はいませんか?お墓は通常、購入費に合わせて管理費がかかり、定期的な掃除と跡を継ぐ人が必要です。しかし、核家族化や少子高齢化によりお墓を守ることが難しいといった現状があります。海洋散骨は継承不要の葬送であることから、家族への負担を考えて海洋散骨を選ばれる方も増えています。

海を眺め故人を思い出すことができる

海は世界と繋がっているため、国内でも海外であっても、どこにいても海を見るたびにいつでも大切な故人を思い出すことができます。定期的にお墓参りに行くような感覚で海へ訪れて想いを馳せるご家族もいます。

海洋散骨の種類

個別散骨

船を一隻貸し切っておこなう海洋散骨です。ご家族だけに限らず、親しい友人などを乗船できるため、プライベート空間を大切にできる海洋散骨クルーズになります。一隻チャーターのため、まわりを気にせず心ゆくまでゆっくりお別れができます。ご指定の日時・場所から出航します。オプションで音楽演奏や軽食を付けることもできます。

合同散骨

複数のご家族がクルーザーに乗船し、乗り合いでおこなう海洋散骨クルーズです。散骨ポイントでは、一組ずつお別れのお時間があります。費用を抑えたい方はもちろん、お一人からでも参加できる海洋散骨クルーズです。

委託散骨

様々なご事情でご乗船できない方のためのプランです。ご遺族に代わり、スタッフが真心をこめて海へお送りします。

海洋散骨は合法か?

散骨は合法

海洋散骨は環境汚染にならないのか?法律的に問題ないのか?といった疑問を抱かれる方もいるかもしれません。現在、日本では「墓地、埋葬等に関する法律」において、海洋散骨を禁止する規定はありません。法務省では1991年に『葬送の為の祭祀として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪に違反しない』との見解を示しています。そのため、法律上で問題はなく、地方自治体、市区町村の役所などで行政的な手続きを行う必要は特にありません。また、遺骨は粉末状にしてから散骨することがガイドラインで定められています。

一部禁止地域もある

遺骨をそのまま海に撒くことは不法投棄とみなされる危険性があるほか、一般市民の心情に配慮する必要もあります。例えば、観光地や自然保護区域などでは散骨を禁止していることがあります。また、海洋上であっても保護区域には禁止エリアがあります。地域によってルールが異なることもあるため、事前にチェックをしておくといいでしょう。

海洋散骨クルーズの注意点

船酔い

どのようなプランであってもセレモニーに2時間程かかると想定しておくといいです。海洋散骨クルーズはある程度の沖合で散骨するため、船酔いを心配される方は注意が必要です。小型船は大型船と違い大きな揺れも生じます。また、天候によって船が大きく揺れることもあります。ご不安な場合は事前に担当者にご利用者様の様子などを聞く、または体験ツアーに参加されてみるのもいいでしょう。

多くは乗り合いの合同葬

海洋散骨クルーズは乗り合いの合同葬を前提としていることが多いです。合同葬の場合は決まった日程と場所からプランを選択することになります。同じように海洋散骨クルーズを選ばれた方々であるため目的やお気持ちは同じですが、どうしてもまわりが気になってしまう方は個別チャーターをおすすめします。乗り合いの場合は事前にクルーズ船の大きさや参加人数の上限などをチェックしておくと安心です。

遺骨のままでは不可能

遺骨はそのままの状態で海に手向けることはできません(刑法190条で定める「遺骨遺棄罪」に抵触する可能性があります)。遺骨は粉末状にしてから散骨することがガイドラインで定められています。「散骨に関するガイドライン」においても、「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと」ということが規定されています。

クルーズの前にやっておくべきポイント

体験クルーズを利用する

海洋散骨業者をはじめ、葬儀社や旅行会社では体験クルーズを行っています。海洋散骨クルーズにご興味のある方は体験クルーズに参加されるとことをおすすめします。東京湾や横浜港、松島湾などで開催されているものもあります。実際の海洋散骨クルーズのように海に散骨(体験では塩を散骨)し、お花を手向けます。体験クルーズはお一人から気軽に参加することができ、終活プランとして用意されているものもあります。クルーズ体験だけでなく、食事が含まれるものもあり、観光感覚で体験できるのが魅力です。なかには、友人同士で参加される方もいるようです。気になることがあれば、その場で質問もできます。

心の余裕が出来るまで時間をおく

遺骨は葬儀を終えたあと、一忌明けの四十九日法要時にお墓に納骨することが一般的です。

海洋散骨クルーズをされる場合はすぐではなく、家庭のことが落ち着くタイミングやご家族の心が落ち着いてからがいいでしょう。心の整理ができないまま海洋散骨をしてもやり直すことができません。決して急ぐ必要はなく、心の余裕ができるまで時間をおいても問題ありません。

分骨しておく

すべての遺骨を海洋散骨するのではなく、手元供養として残しておく方もいます。その場合は事前に分骨しておく必要があります。葬儀後に埋葬をしないで散骨する場合は、すべてのお骨を散骨せず分骨して一部を散骨します。一部を納骨する場合は、埋葬許可証の原本が必要になるため、遺すお骨と一緒に保管しておきましょう。改葬のためにお墓に埋葬している遺骨を取り出して散骨する場合は、遺骨を墓地から取り出して、別の墓地あるいは納骨堂に移動する際は、「改葬許可証」が必要になります。

散骨後のことを考える

お墓を改葬される場合の海洋散骨クルーズ以外は、海洋散骨後のことを事前に考えておく必要があります。納骨堂に入れるのか、樹木葬や手元供養なのか。海洋散骨クルーズだけを行い、手元になにも残らなかったと後から後悔されることがないように、散骨後のことをご家族でよく相談しておく必要があります。また、法要についても、海洋散骨クルーズのみを選択された場合、お彼岸、お盆、一周忌、三回忌をどのように行うのか。従来型のお墓とはやり方が異なりますが、海洋散骨クルーズのなかには、法要クルーズプランを用意している海洋散骨業者もあるため、事前に調べておくといいでしょう。

その他の自然散骨

海洋葬 

船で沖合に出て、散骨後に献花や黙とうを行う葬送セレモニー。自然に還りたいと考える方や海が好きだった故人、家族との思い出の場所でお別れしたい方などに人気の葬送です。国内外の著名人では、石原裕次郎氏やジョージ・ハリスン氏が海洋散骨されたことで知られています。

樹木葬

樹木や草花をシンボルとした埋葬。日本の慣習にとらわれないため、ペットを一緒に埋葬したい方、婚姻関係のないパートナーや友人同士で埋葬したい方にも選ばれています。樹木葬は主に庭園タイプ・公園タイプ・里山タイプの4つにわけられます。庭園タイプはガーデニング霊園、ガーデン墓地とも呼ばれ、霊園や寺院の境内にある墓地に庭園が設けていることもあります。公園タイプは整備された園内の一角に樹木葬を設けていることがあります。里山タイプは山林のなかでありのままの自然に還すスタイルです。

空中葬

空中から海上に向けて散骨する葬送。小型飛行機やヘリコプターで散骨されることが多いですが、バルーン葬や宇宙葬など、ユニークなものもあります。バルーン葬は、遺骨が入った風船を地上から飛ばし、風船が破裂したときに散骨されます。宇宙葬はロケットに乗せて飛ばす、または人工衛星に搭載します。

まとめ

海洋散骨クルーズはお墓をもたない選択をされる方やお墓を改葬される方、家族のしがらみや慣習にとらわれないお別れ方法を希望する方などに人気があり、自由度の高い葬送のひとつです。従来型の一般的な墓石のお墓だけでなく、現在は葬送に様々な選択肢があります。大好きだった湘南の海、よくデートをした東京湾、家族で旅行した松島湾など…。海洋散骨クルーズはご家族にとってもかけがえのない思い出になるでしょう。ご利用された方からの満足度も高く、海洋散骨クルーズをされてから、毎年旅行を兼ねて海に訪れる方もいらっしゃいます。メリット・デメリットを比較するために、まずはお気軽に体験クルーズに参加されてみてはいかがでしょうか。

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