散骨ツアーとは?散骨やその注意点、ツアーについて解説。
大切な人の遺骨を海に撒く海洋散骨ですが、散骨される方は一体どのような理由から散骨を選ばれているのでしょうか。また、実際にどれくらいの人が散骨を選択されているのか。近年の調査を基にみていきましょう。そして、いま散骨を旅行感覚で実施できる「海洋散骨ツアー」も人気を集めています。故人の思い出の地を巡りながら散骨していくツアーや、分骨した遺骨をハワイや沖縄で散骨するツアーなど、海洋散骨ツアーの種類は多種多様です。海洋散骨でトラブルが発生しないように事前に知っておきたい注意点などをご紹介いたします。海洋散骨に少しでもご興味のある方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
散骨とは
散骨とは
散骨とは、遺骨を自然に還す葬送方法です。海や山だけでなく、空や砂漠も含まれます。遺骨をそのまま海に撒いたり、自然に還したりすることは、不法投棄とみなされる危険性があります。散骨は一般市民の心情に配慮する必要があります。遺骨は粉末状にしてから散骨することがガイドラインで定められています。日本では「墓地、埋葬等に関する法律」において、海洋散骨を禁止する規定はありません。法務省では1991年に『葬送の為の祭祀として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪に違反しない』との見解を示され、葬送の方法として認められています。
散骨の特徴
散骨は撒く場所によって異なります。海に遺骨を撒く場合は海洋散骨、空から海上に向かって撒く場合は空中葬(空中散骨)、ロットや人工衛生で宇宙に撒く場合は宇宙葬、里山に撒く場合は樹木葬のなかの散骨にわけられます。
散骨をする理由
「親族のお墓に入りたくない」「大好きな海に還りたい」「お墓を購入する予定がない」「長男ではないから夫婦で永代供養に入りたい」「次男である父にはお墓がないという人」「遺族の負担になるものを残したくない」「故郷の沖縄の海に撒いてもらいたい」など、さまざまな理由から散骨は選ばれています。この理由の背景には核家族化や少子高齢化問題が深く関係しています。従来型のお墓を所有しているが、都内に住んでいて、田舎にお墓参りに行くことが困難である場合や、子どもがいないためお墓を継承する人がいないことで、墓じまいや改葬を検討される方が増えています。そこで、散骨という選択が問題解決に繋がることがあります。例えば、海洋散骨であれば継承者は必要なく、散骨後は管理もいりません。継承不要のお墓として散骨を選ばれる方が近年増加傾向にあります。
どのくらいの人が散骨を考えているのか
日本全国で実施されている海洋散骨は「年間約1万件」といわれていますが、正確な件数は発表されていません。年間の死亡者数は約136万人のため、亡くなる方の約1%が散骨という葬送を選択されていることになります。潜在的に散骨を希望されている方は多く、最近では墓じまいが増えていることから、海洋散骨をされる方も増加すると予想されます。
<一般社団法人日本海洋散骨協会加盟事業者 海洋散骨実施数※>
2019年……1,215件
2020年……1,049件
2022年……2,387件
※一般社団法人日本海洋散骨協会では、厚生労働省発表(R2.3)の「散骨に関するガイドライン」に基づき、協会加入企業の散骨施行件数を年次で公表しています。
<ブルーオーシャンセレモニー※ 海洋散骨およびご遺骨粉末化の件数>
2016年……236件
2018年……491件
2020年……638件
2022年……809件
※株式会社ハウスボートクラブの海洋散骨サービス
散骨の種類
海洋葬
船に乗って海上でパウダー状の遺骨を撒くスタイル。
平均26.4万円(※2022年度の当社平均)。最も安価な「代行散骨」は55,000円~実施可能ですが、個人チャーター、合同海洋散骨、委託海洋散骨で金額は異なります。
樹木葬
墓石を建てずに樹木や草花をシンボルとして、土に遺骨を埋葬するスタイル。
平均70万円前後。樹木葬は主に庭園タイプ・公園タイプ・里山タイプにわけられ、金額は異なります。近年、特に選ばれている葬送方法です。
空中葬
ヘリコプターや飛行船などで遺骨を空中から散骨するスタイル。
平均30~60万円。日本で空からの散骨が許可されているのは、公海上や人家のある生活圏から遠く離れた国有林に限られています。
宇宙葬
ロケットや人工衛星でカプセルに入れた遺骨を宇宙空間に打ち上げて散骨するスタイル。
平均100万円~。月面着陸や周回など、コースによって金額は異なります。打ち上げる回数や一回の打ち上げにかかるコストから宇宙葬は高額になります。
散骨ツアー
旅行先で散骨
散骨は旅行先の海でも行うことも可能です。故人の思い出の場所をめぐりながら旅行先で散骨ツアーをされるなど、やり方は様々です。例えば、ハワイでは昔から先住民族が伝統的に散骨を行っていたことで、散骨と馴染みのある土地になります。ブルーオーシャンセレモニーでは、ハワイの海での海洋散骨ツアーもサポートしています。
散骨ツアーとは
大切な故人を偲びながら、生まれ育った土地やゆかりの場所を巡る散骨ツアーをする方も増えています。散骨場所はひとつである必要はなく、複数の思い出の地に撒いてほしいと希望される方もいます。昔訪れた思い出の場所に新しい思い出が重なり、新たに大切な思い出として心に残る旅となることでしょう。
えんの旅
えんの旅は、大切な人とのご縁を深め、思い出に残る旅行体験を提供する、プロのコーディネーターが寄り添う旅行サービスです。従来の観光とは違い、懐かしい場所や思い出の地を巡る、心豊かな「終活の旅プラン」をご提案。大切な人との時間を共有する旅をお手伝いします。気軽にお任せの「募集ツアー」、体験・セミナー付きの「散骨・終活ツアー」、お客様のご都合に合わせて「オーダーメイド」の3つのかたちをご用意しています。お気軽にご相談ください。
散骨で注意すべきこと
散骨は合法なのか?
「墓地、埋葬等に関する法律」において、海洋散骨を禁止する規定はありません。法務省では1991年に『葬送の為の祭祀として節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪に違反しない』との見解を示しています。しかし、遺骨をそのまま海に撒くことはできません。不法投棄とみなされる危険性があるほか、一般市民の心情に配慮する必要もあります。遺骨は粉末状にしてから散骨することがガイドラインで定められています。
周りの理解を得ること
散骨を選ばれる場合、散骨後に手元になにも残らなかったという問題が起きないように、事前にご家族の理解を得て、その後のどうやって供養するかを考える必要があります。ご家族のなかには、伝統や格式を重んじるため散骨を受け入れられない方もいらっしゃるかもしれません。トラブルにならないように、必ず事前に相談をしておきましょう。
心の余裕ができるまで時間をおく
遺骨は一忌明けの四十九日法要時にお墓に納骨することが一般的です。葬儀や手続きが終わり、ひと段落するタイミングに散骨されてもいいでしょう。心の整理ができないまま海洋散骨をしてもやり直すことができません。散骨は急がず、心の余裕ができるまで時間をおいても問題ありません。
分骨しておく
遺骨はすべてを散骨するのではなく、手元供養として残しておく方法もあります。また、お墓をもつのか、もたないのかによっても分骨方法は異なります。散骨を選択される場合は事前に分骨するため、散骨後のことをご家族でよく相談しておきましょう。
散骨の際のマナー
喪服を着ない
海洋散骨の際は特に喪服を着る必要はありません。海上では観光船や海辺でマリンスポーツを楽しむ方々がいることから、景観への配慮も含め、自由な服装で問題ありません。また、スーツで船酔いされると辛いなどの理由もあり、服装の決まりはありません。
人がいない時間帯に散骨
レジャーをしている横で散骨をしているのは望ましくないと考える方も多くいます。まわりが気になってゆっくりお別れができないということのないように、可能な限り、第三者に影響のないような時間を選ぶといいでしょう。
ゴミは残さない
散骨用の遺骨はすべて撒くようにしましょう。献花でビニールゴミなどがでた場合もその場に残さず、決して海に落とすことのないように、綺麗に片づけてから帰るように気を付けてください。
まとめ
一般的なお墓だけでなく、海洋散骨や樹木葬を選ぶ方が増えてきています。お墓を維持することが難しくなり墓じまいをして散骨をされる方や改葬で遺骨の一部を散骨され方もいます。現代のお墓の悩みに対して解決策にもなる海洋散骨は、今後も葬送のひとつの選択肢として伸びていくことが予想されています。家族の思い出の場所を散骨ツアーで巡ることもできます。海洋散骨は非日常を味わえるだけでなく、海が好きだった故人の希望を叶えられる葬送方法です。えんの旅では、ほかにはないオリジナルの散骨プランをコーディネートすることも可能です。昔懐かしいあの場所に、最期にもう一度、大切な人と一緒に訪れたいという思いを叶えることもできます。ご家族と相談のうえ、散骨ツアーで特別な時間をお過ごしいただければと思います。