終活はいつから始めるべき?メリット・やるべきことを解説

2024.02.09
近年では、「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。終活とは、人生のセカンドライフを充実させるための活動です。遺言書の作成、葬儀やお墓の準備、老後の生活設計など、その内容は多岐にわたります。
将来のことを考えて終活を意識している方のなかには、「終活はいつから始めるべきなのか」「具体的に何をすればいいのか」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、終活を始めるタイミングや、終活のメリット、やるべきことについて解説します。
終活とは
終活は、セカンドライフを楽しむための備えです。具体的には、老後の生活や死後の手続きに備え、事前に準備しておくことを指します。
終活と聞くと、「死」や「お墓」といった少しネガティブなイメージが先行しがちですが、本来は「これからの人生を楽しく生きる」ためにする活動です。
終活を通じてこれまでの人生を振り返り、残りの時間をどのように過ごすか考えることで、より充実した人生を送れるようになります。
具体的な取り組みとしては、身辺や財産の整理、介護や医療に関する方針の決定、エンディングノートや遺言書の作成などがあります。
終活はいつから始めるべき?
終活は、いつから始めても遅くはありません。ただし、早めに始めておけば、余裕を持って自分の人生を振り返り、大切な人との対話の時間をより一層確保できます。
終活を始める具体的なタイミングとしては、ライフスタイルが大きく変化する時です。
例えば、定年退職や子どもの自立といった人生の大きな節目や、身近な人が亡くなり終活について考える機会が増えたときなどが、終活を始める適切なタイミングと言えるでしょう。
終活はいつから始めても良い
終活を始める時期に決まりやルールはありません。つまり、終活はいつから始めてもいいのです。
ただし、終活にはエンディングノートの作成や財産・葬儀の準備など、多岐にわたる内容が含まれます。これらの準備には、体力や気力、判断力が必要です。そのため、体調や気持ちに余裕があるうちに始めることが望ましいでしょう。
自分の決意が固まったとき
終活は、いつからでも始められる人生の終焉に向けた準備です。年齢に関係なく、自ら行動を起こす意欲がわいたときに始めましょう。
終活の目的は、老後の生活の不安を解消し、より豊かな人生を実現させることにあります。自分だけでなく、家族や周りの人々を安心させるためにも、自己の決意が固まったときに終活を始めてみてはいかがでしょうか。
定年を迎えたとき
定年退職を迎えると、職務から解放され、個人の時間をより自由に過ごせるようになります。趣味への没頭や新たなことへのチャレンジなど、生活の選択肢を広げることが可能です。
一方で、老後に向けて準備すべきことも増えます。医療や介護環境の確立、資産管理、葬儀やお墓の準備など、将来の自己保護のために慎重に計画を練る必要があります。
定年退職は、人生の大きな節目です。今後の人生をどう過ごすかを、じっくり考える絶好の機会と言えるでしょう。
子育てが一段落したとき
子どもがいる家庭では、子育てが一区切りしたときが終活を始める絶好のタイミングです。
子どもの自立は、親にとって大きなライフイベントです。子育てから解放され、自身の人生を見つめ直す機会が訪れます。
子育てに費やしてきた時間を、自身や家族の人生設計や、今後の人生の過ごし方を考える時間に変えてみてはいかがでしょうか。
生活環境や健康面の変化があったとき
終活はいつからでも始められますが、特に環境や健康の変化が見られる時期は、終活を始める良い機会です。
例えば、転勤や結婚、出産などによる生活環境の変化は、自身の人生や将来について考えるきっかけになります。また、家族が増えると、自分の死後に家族が困らないように、事前に準備しておこうという意識が芽生えるものです。
そのほか、病気や怪我で入院や通院が必要になった時期をきっかけとして、医療・介護の希望をまとめ、身の回りや財産の整理を進めておくと、緊急時に慌てずに対応できます。
終活を早めに始める4つのメリット
終活を早期に始めることのメリットとしては、家族の負担の軽減、自分らしい生き方の実現、死に対する不安を和らげるといった点が挙げられます。
1.家族の負担を軽減できる
終活をすることで、遺族の負担を大きく軽減できます。
例えば葬儀では、葬儀の形式、遺影写真、火葬や埋葬の方法など、決定すべき事項が多岐にわたります。終活を通じて自分の希望を家族に伝えておけば、家族への負担を軽減できるでしょう。
特に葬儀は、故人が亡くなった直後という精神的に不安定な状況下で準備しなければならないため、家族にとって大きな負担となります。そのため、終活を早めに始めることは、自身の気持ちの整理だけでなく、家族の精神的負担を取り除く効果もあるのです。
2.家族間トラブルを回避できる
遺産に関する家族間の争いは、決して珍しいことではありません。親しい家族同士でも、遺産の分配や相続方法について意見が対立し、関係が悪化することがあります。
終活で遺言書を事前に作成しておけば、遺産の分配や相続方法を本人の意向に基づいて決められるため、家族間の議論や争いを避けることが可能です。
また、終活を通じて相続人と事前に話し合いの機会を設けることで、スムーズな相続が実現できます。相続人と遺産の分配や相続方法について話し合い、互いの希望や考えを理解しておけば、万が一の場合にトラブルが生じるリスクを軽減できます。
3.人生が豊かになる
終活を通じて自身の人生を振り返ることで、残りの人生をより意味深く、充実させられるというメリットがあります。
例えば、エンディングノートを作成することで、これまでの経験や価値観、大切にしてきたことを振り返り、整理することが可能です。その結果、今後どのように時間を使い、どのような目標や計画を立てるかが明確になります。
また、エンディングノートには、大切な人へのメッセージや、葬儀やお墓に関する希望を記すことも可能です。自分の想いを形にすることで、残された人生を前向きに生きるモチベーションが得られます。
終活は、人生の終わりに向けた準備だけでなく、人生をより豊かにするための活動でもあるのです。
4.死への恐怖心を緩和できる
終活に対して、「生前から死について考えるのは縁起が悪い」という感情を持つ方もいるかもしれません。
しかし、終活には死に対する不安や恐れを軽減し、解消できるというメリットがあります。
例えば、終活を通じて自分の死後について考えることで、漠然とした不安が具体的なものになり、対処しやすくなります。また、自分の意向を家族に伝えておくことで、いざというときに家族が迷わず行動できるようになるでしょう。
終活は、漠然とした死への恐怖心を緩和し、不安を解消するために必要な活動です。
終活でやるべき7つのこと
終活には、遺言書の作成、葬儀・お墓の準備など、さまざまな準備があります。ここでは、特に重要な7つの事柄をピックアップし、それぞれ詳しく解説します。
なお、どれから取り組むべきかといった順番はありません。自分のやりたいこと、すぐに実行可能なことから始めることをおすすめします。
1.身辺整理をする
終活の一環として行う身辺整理とは、身の回りにある物品や人間関係、デジタルデータなどを整理することです。
・物品の整理:不要な物を処分・売却することで、家の中をすっきりさせます。写真や手紙といった思い出の品の処分は、後悔のないよう慎重に判断しましょう。趣味のコレクション品や道具については、必要な物を残し、同じ趣味を持つ人への譲渡や売却を検討します。
・人間関係の整理:残された時間を誰と過ごすかを明確にしましょう。年賀状のやめどきを決めるのも一つの方法です。
・デジタルデータやSNSアカウントの整理:人に見られたくないデータは事前に削除し、SNSのアカウントは死後に削除するよう家族などに依頼しましょう。また、月額や年額制のサブスクリプションサービスに加入している場合は、アカウント情報を記録して家族に伝えます。
2.財産整理をする
終活では、財産の整理も重要です。財産状況を正確に把握するために、財産目録を作成し、銀行口座やクレジットカードの整理、不動産の相続・売却準備、有価証券や動産の管理、年金や保険を整理しましょう。
・財産目録の作成:裁判所の書式テンプレートなどを活用し、所有するすべての財産をリスト化します。
・銀行口座やクレジットカードの整理:不要な口座やカードは解約し、通帳やキャッシュカードの保管場所を家族に伝えておきましょう。
・不動産の相続・売却準備:保有する不動産の登記簿謄本を取得し、物件の所在地や面積、所有者などの情報を確認します。空き家などの不要な不動産は売却し、引き継がせたい場合は相続や生前贈与の手続きを行いましょう。
・有価証券や動産の整理:価値が変動する可能性のある資産は、生前に現金化しておくことでトラブルを避けられます。証券会社や貴金属取引業者に相談するとよいでしょう。
・年金の整理:加入している年金の種類、受取口座、年金手帳の保管先などを記録しておきます。
・保険の整理:不要な保険は解約し、継続するものは保険金の受取人や契約内容を確認し、リスト化します。保険証券は一箇所にまとめておきましょう。
これらを整理しておくと、いざというときに家族が困らずに済みます。
3.医療・介護の方針を決める
終活では、医療や介護に関する自身の意向を家族に伝え、記録しておくことが重要です。
・医療:主治医や服用している薬の情報、健康保険証やお薬手帳の保管場所などを家族に知らせます。また、延命治療や終末期の医療に関する方針も共有しておくとよいでしょう。
・介護:老人ホームの入居や介護方針に関する具体的な希望がある場合は、事前に家族へ伝えておきましょう。また、自身が利用可能な介護制度を把握し、老後の住居計画についても検討します。
4.葬儀・お墓の方針を決める
葬儀とお墓は、故人への最後のお別れの場であり、遺族にとっても重要な儀式です。そのため、葬儀やお墓に関する自身の希望を家族に伝えておくことが大切です。
・葬儀:規模や内容、喪主を家族と協議し決定します。また、葬儀費用を事前に準備しておくことで、遺族の経済的な負担を軽減できます。
・お墓:既存のお墓を利用する場合もありますが、ない場合は納骨先や供養方法を検討する必要があります。最近では、お墓を持たない永代供養墓や海洋散骨といった供養方法も注目されています。
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5.エンディングノートを作成する
エンディングノートとは、人生の最期に備えて、家族や友人に伝えておきたい想いや重要な情報を記録するノートのことです。
エンディングノートには、財産、医療・介護、葬儀・お墓など、終活で考慮すべきさまざまな情報をまとめて記載できます。ノートの形式に決まりはなく、普通のノートを使用しても問題ありません。
ただし、エンディングノートには法的効力がないため、相続など法的な効力を要する事柄に関しては、遺言書の作成が必要です。
エンディングノートに記載するとよい内容は、以下のとおりです。
- 自分の情報、半生の記録(自分史)
- 関係者の情報
- 財産関連の情報、賃借の情報
- 遺言書の有無
- 公共料金などの契約情報
- 保険関連の情報
- 年金情報
- 医療・介護に関する情報
- 葬儀・お墓に関する情報
- ペットに関する情報
- 個人所有物に関する情報(譲渡、処分、売却)
- デジタル情報(SNSのIDやパスワード)
- 大切な人へのメッセージ
気持ちや考えは都度変化するため、エンディングノートを書き終えた後も、定期的に見直すことをおすすめします。
6.遺言書を作成する
遺言書は、自分の死後に財産をどのように相続させたいかを定めた書面です。遺言書がない場合、相続人同士で争いが生じる可能性があります。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が存在します。
・自筆証書遺言:本人が手書きで作成する方法です。費用がかからず、いつでもどこでも作成できますが、要件を満たさないと無効になるリスクがあります。
・公正証書遺言:公証役場で公証人に作成を依頼する方法です。正確性が高く信頼性に優れていますが、費用が発生します。
・秘密証書遺言:本人が作成した遺言書を封印し、公証役場に提出する方法です。内容が他人に知られずに済みますが、費用がかかります。
相続トラブルを防ぐためにも、遺言書を生前に準備しておくことが推奨されます。
ただし、遺言書は誤りがあると無効となる恐れがあるため、作成の際は十分に注意しましょう。
参考:知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方|政府広報オンライン
7.やりたいことリストを作成する
終活の7つ目のポイントは、やりたいことをリスト化することです。今までの人生を振り返り、やり残したことや今後挑戦したいことを書き出します。
具体的には、家族旅行や家族へのプレゼント、ボランティア活動、興味がある分野の学習などです。
残りの人生をどう過ごすか目標・計画を立てることで、日々の生活をより充実させることができます。
「終活はいつから?」という不安解消には終活ツアーがおすすめ
終活と聞くと「死」や「お墓」といったイメージが先行し、積極的になれない方もいるかもしれません。
そうした方におすすめしたいのが、終活ツアーです。終活ツアーとは、終活に関する知識やノウハウを学びつつ、観光や宿泊を楽しめるツアーです。
近年、終活ツアーの需要が高まり、家族や友人との旅行を楽しむシニア層が増えています。ツアー形式であれば終活について気軽に学べるため、無理なく終活と向き合えるでしょう。
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まとめ
本記事では、終活を始めるタイミング、終活のメリット、やるべきことについて解説しました。
終活はいつからでも始められるものです。ただし、遺族への負担を軽減し、自身の不安を解消するためにも、体力と気力があるうちに早めに取り組むことが望まれます。
一人で終活を進めるのが不安な方や、ネガティブな感情になるのを避けたい方は、終活ツアーがおすすめです。
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